大田区の「シニアステーション」〜切れ目のない支援はここからも

 昨年春、区内にオープンした「シニアステーション」。これは、高齢者の健康維持と介護予防のほか、地域包括支援センターと連携して介護サービスへとつながる切れ目のない支援をすることを目的に大田区が開設したものです。モデルケースとして調布地域庁舎管内に3箇所、シニアステーション東嶺町をはじめ同田園調布南、同田園調布が稼働しています。内容として、体操などで体を動かす介護予防教室、合唱や囲碁将棋など脳の活性化に役立つ活動、介護や日々の生活相談受付などがあり、汗をかいたらシャワールームで流すこともできます。

施設長さんが室内の使い道を案内(東嶺町)

 地域包括支援センターとは、社会福祉士や看護師など福祉医療関係の専門職員を配置し、高齢者の生活や介護に関して必要なサービスにつなげるための支援をすることを目的に設置されたもので、区内全域に21箇所拠点があります。
訪問したシニアステーション東嶺町では、1日約20~60人、毎月1500人前後の利用者があり、それほど広くない施設は満員御礼の状態です。利用した人の評判を聞きつけた人がやって来ることで利用者が増加しているそうです。

見学したのは50-70代の大田区民(東嶺町)

 「体操に参加するようになって要介護度が軽くなった」「自覚のなかった問題が見つかった」という声があると職員さんから伺い、本人だけでなく家族の安心にもつながっている様子を想像しました。ほかに、子育て世代や50代向けの活動、介護者向けの講座を開催するなど幅広い世代に開かれています。
 見学を終えて思い出されたのは、英国の首都ロンドン市西北部のノースケンジントンにある高齢者統合ケアサービスセンター(EPICS)です。そこでは、一人の人間を丸ごと受け止めて支援するホリスティックケアの観点で、医療から在宅ケア、家事援助、リハビリ、心身の健康まで、まとめて対応するサービスが提供されています。アフリカやアジアなど白人以外が多い地域であることから、もともと多様性への配慮が厚い上、さらに高齢者が取り残されないようにと、ケアを受けるだけでなく外出活動、文化活動も実施しています。老いの段階や心身の状態に応じて必要なプログラムを利用できることが健康増進と必要な介護を受けることにつながっていました。(参照:『福祉市民社会を作る〜コミュニケーションからコミュニティへ』加藤春恵子、新曜社、2004年)

浴室はシャワールームに改装された(東嶺町)

 この春から、糀谷に新たなシニアステーションが開設されました。「老人憩いの家」事業を発展させた新しいこの試みが住み慣れた地域で暮らし続けるための環境作りに貢献することを期待します。(取材、文、写真:池田佳代、2017年7月28日)